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に潮の流れや波高などの関係でA丸・B丸双方の位置関係が変わったため、送り出しているロープに取り付けてあるシャックルが、ワイヤーにひっかかったものであるということでした。
ロープの受け渡し、巻き取り方法については、今現在考えられる最善の方法を取っていたということで、ロープの切断は一瞬の出来事で、合図を送る間もなく被災者に直撃したということでした。
ところで被災者は、巻き取られたロープを整理する作業に従事していたわけですが、これは、A丸が受け取ったロープは揚網後、今度はB丸ヘロープを渡すために行われる作業です。
船員労務官の立場からすると被災者の作業位置は、走行中のローブ付近であり、「危険予知」ということを考えれば、不安全な行動であるといわざるを得ません。
もし、「他の位置で作業を行っていれば」、また「ロープ巻き取り後に整理作業を行っていれば」、仮にロープが切断して事故が起きても、災害には至らなかったのではないかと考えることができます。
今までこの方法で行い、同種の災害もなかったことから、作業慣れにより、「危険」という認識が薄れていたのではないかと思われます。
作薬効率を考えての事ですが、ローブを巻き取った後に整理することも可能であり、これは改善の余地があった作業手順でもあります。
災害の発生原因は、「設備に起因するもの」「人に起因するもの」があります。
今回の災害を通して船舶所有者は、さまざまな事故防止対策を検討しています。
ロープの強度や取替えの回数、シャックルやワイヤーの取付け方法など、設備の改善もさることながら、作業手順や監視体制をはじめとする、乗組員の意識改革を強力に行っています。
船舶の設備や装備品は年々新しく、作業効率も上がってきています。
しかしそれを扱うのは、乗組員です。
また漁船にありがちなことですが、船内の安全管理や作業体制については、漁ろう長に任せっきりという面があり、この点は陸上の担当者がその把握を行ってほしいものです。
ちょっとした油断が大きな災害につながります。
今回もそうですが災害が起こった後は、「もし〜であ

 

 

 

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